KAKULOG

かくろぐ=確、核、書く…ブログ

腹筋を鍛えるということ

こんにちは。木村美穂です。
「心と身体の声に耳を傾けて、刺激を楽しめる人生を」を根本に、
身体が健康になるという価値を伝える活動をしています。

突然ですが…

あなたは風船を膨らませることができますか?

 
なんかいつもお腹がぽっこり出てる…便秘で悩んでいる…

お腹周りのシルエットが気になる…ベンチプレスで全然胸に入らない…

スクワットで全然ハムとお尻に入らない…などなどなど、

男性も女性も、お腹周りに悩む人は多いのではないでしょうか? 
便ç§ã»ä¸ç¢ã®äººã®ã¤ã©ã¹ã

 

今日この記事では、お腹に力を入れるということについて解説します。

読み終わったらきっとやってみたくなるはず…( ˘ω˘ )ぜひお付き合いください~!
 
「THE VALUE OF BLOWING UP A BALOON」www.ncbi.nlm.nih.gov

という論文を参考にできるだけわかりやすく、

なじみのある形で浸透させていきたいので、

みなさんもぜひトライしてみてくださいね。 

 

 

 

”腹筋”と聞いて、どこを思い浮かべますか?

腹筋てどこにある筋肉でしょう?!と聞かれたら、

たいがいの方はお腹の中央のあたりを指さして教えてくれるのではないでしょうか?

もちろん、それも大正解!普段私たちがぱっと思い浮かべる腹筋は、
「腹直筋」といって、鍛えるとバキバキに割れてくる、これです。 
背骨を中心に筒状の身体を360度とりかこむように骨格を筋肉が支えていますが、

身体を前面から見たときに柱のひとつになっているのが、今しがた想像した「腹直筋」です。
ですがこれだけだと身体を360度はカバーしきれないので、

そこで大活躍しているのが「腹横筋」です。

 

 

天然のコルセットとも例えられるように、おなかの周りをぐるっと一周、

帯のようにかこっている腹横筋。

骨盤と胸郭を(身体の下と上を)つなぐ役割も果たす、まさにパイプ役の超大事な筋肉です。
そして、お腹の中の圧を高めて、安定性を作り出すためには、肋骨と骨盤底の位置が非常に重要なのですが、

とくに肋骨の位置に大きく関わっているのが「腹斜筋」です。
腹斜筋はさらに「内腹斜筋」と「外腹斜筋」に分けられますが、

ここでは「内腹斜筋」により焦点を当てて考えてみましょう。


「外腹斜筋」も、もちろん大事ですが、肋骨の位置/動きにフォーカスすると、

どちらかというと普段から使いやすい筋肉なので、ここでは深くつっこみません( ^ω^ )

 

ここで気になるのが、身体を後面からみたときの柱は…?
だと思うのですが、これはですね…きっといろいろ考え方があって、

身体のことを学んだバックグラウンドによっても見方が変わってくるので、

私が現在習得した知識のアウトプットとしてお話しますね。


基本的に(細かい話は置いといて)、先ほどお話した腹横筋が、

腹部をコルセット状に支えているので、主にこの筋肉と構造的支柱である脊柱とで安定性を高めているとご理解頂きたいです。
ですので、後面だけで”支柱”として支えている筋肉は腹腔内圧においては特別あげないで話を進めます。 

 

筋肉がどう働くか?

さてさて、これらの筋肉が伸び縮みすることが超大事で、

さらに筋肉の動きにも種類があるのでご紹介しますね。ざっくりわけて、


A:縮みながら力を出す  と
B:伸びながら力を出す  の2種類。


ゴムひもを想像して、びよーんと伸ばすと、

ゴムひもは「やーめーてー」と言わんばかりに抵抗をするんですね。
言い方を変えると、耐える…というか。これが、Bの方。

筋肉自体も伸びながら力を出すのはどちらかというと苦手なので、大変ですし、サボりがちになる動作のひとつです。
 
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一方Aは、伸ばされたゴムが全力で元の位置に戻ってくるときのぎゅっとした縮まりなイメージです。
縮こまる動きは筋肉も好きだし、得意。
もっとわかりやすいのが、肘を伸ばした状態から、肘を曲げる。

そうすると力こぶのできる側の筋肉は
A:縮みながら力をだして」いて、
逆側にある二の腕の筋肉は
B:伸びながら力をだして」いる状態です。


普段自分では特別意識していなくても、

こんなことが身体ではおこっているということですね。 
おなかの筋肉の話にもどって考えると、それぞれの筋肉がAとBどっちで働いたらいいのか…?
目の前にペットボトルがあるとします。飲み干した後のからのペットボトル。
それを人間の身体だと例えましょう。


筒状のまま蓋をしめてペットボトルを折りたたもうとしたとき(以下写真2枚) 


と、筒の形をつぶして蓋をした状態で折りたたもうとしたとき(以下写真2枚)

 

どちらが安定性に長けているか?一目瞭然だと思います。
不安定な方は底をいじらないと立つことさえできなかったです。

ヒトの身体でも同じことが起こっていて、腹部の内圧を高めるということは、

言ってしまえばお腹が膨れている状態です。
(食べ物でじゃないです、圧で、です)
赤ちゃんのおなかって、ぱんぱんに膨れていますよね?あれです、あれ。 

あのぽんぽこお腹は、圧の観点からみると何が起こっているかというと…
まず、呼吸をすることが第一条件なのですが

(だから赤ちゃんはいっぱい泣いて腹圧トレーニングするんですよ~)


呼吸をするとき、特に息を吸ったときに上から圧がかかってきます。

(この辺りはこの後もう少し詳しく説明しますので、もうしばらく読み進めてください)
その時に、まず骨盤底で上からきた圧を下で受け止めます。


すると圧は横に逃げようとするので、そやつを腹横筋で受け止めます。筒状に。
とすると、それぞれ中から外に逃げようとするのを、筋肉を伸ばしながら、力強く、でも優しく受け止める必要があるんですね。


つまり、腹直筋、腹横筋、骨盤底筋群に関しては、B仕様で機能するのが理想的です。
これが、スムーズにできていればいいのです。 
ですが、私たちは毎日の生活習慣や心身のストレス、様々な要因によって理想的な動きから遠ざかってしまうことがあります。


なので、この筋肉たちが気持ちよく仕事ができるように、骨のポジション、すなわち姿勢を整えることが必要になってきます。
そこで出番なのが「内腹斜筋」です。一生懸命息を吐いたときに内腹斜筋は仕事をします。
どんな仕事かというと…それは、下部肋骨の位置を下げること。上にいたがる肋骨を内腹斜筋が引き下げてくれます。
ということで、内腹斜筋に関しては、A仕様で縮まりながら働く。というのが理想です。

肋骨の位置がかわる?! 

今の話で、「…は?」って思った人いますよね、たぶん。(笑)
肋骨が動くとはなんぞやと。
なんとなく肋骨を探して触ってみると、バストの下にぼっこり隆起がある方も多いのではないでしょうか?


みなさんが普段”あばら”と聞いて触るところがいわゆる下部肋骨です。
この肋骨は、横隔膜と深い関係があり、横隔膜はみなさんご存知の通り、呼吸をするのに必要な筋肉です。

それに加えて、骨盤(底)の位置も腹腔内圧を高めるためにはとても大事な要素のひとつです。
もうここまで読んでくださったみなさんは、身体を筒状に考えるということがスムーズにできているのではないかと想像していますが、

先述のペットボトルのように、360度に圧がきちんとかかることが、脊柱(体幹部)を安定させる為にめちゃ大事なんですよね。 

てことは、身体の前も、後ろも筋肉がしっかり圧を受け止めていくことが必要なわけです。

 


均等に受け止めるためには、均等に圧がかかるポジションがまためちゃ大事。
これは目で見てわかる姿勢にも直結してくることなのですが、たとえばすごく腰を反っている姿勢の方がいたとして、その人を横から見ると、身体の前の方は広くスペースが空いていて、腰の方は狭くなっているのがわかります。

 

筋肉の活動のしくみなど、こまか~い話はここでは省略しますが、本当だったらおなかの圧を均等に受け止めたいのを、前後のバランスが悪くなっているので、圧がスペースの広い前へ前へと抜けていってしまいます。
すると姿勢のバランスがどんどん崩れてしまい、脊柱の安定性はむしろ低下してしまいます。

 

 

もう一度思い出してくださいね、理想は、だらだら曲がらないペットボトルです。


ポジションにより前のスペースがひろくなってしまう原因は様々で、もちろんどこか一つ改善したらすべてよくなるとは言い難いです。


ここですべてお話しようとすると、目標とする「わかりやすく」が遠ざかっていくので、今回は肋骨と骨盤にフォーカスしてお伝えしますが、やはり相互的に影響を与え合っているので、一緒にアプローチしていくことが大事と言わざるを得ません。


ですが…もともとなぜ骨盤が前に倒れてしまうのか…ということを追っていくと、やはり呼吸/横隔膜/肋骨に起因することが多くみられます。
そのため、肋骨を下げて、ステキ横隔膜を手に入れるために(ドームを作るために)使いたい筋肉に刺激を入れるエクササイズをやりましょう!という話になってくるわけです。その使いたい筋肉とは?…そう。


内腹斜筋です!!!

息をなが~く吐く

冒頭でお伺いした「風船ふくらませられますか?」は、

やっとここでつながってきます。


内腹斜筋の機能を解剖学的にみてみると、そのうちのひとつに”努力性の呼気”とあります。
つまり一生懸命息を吐いたときに働いてくれるんですね。
内腹斜筋が働くということは、肋骨を下げてくれるわけなので、横隔膜はドーム状に戻っていくということです。すごく理にかなっていますよね。


息を吸いたい!ってときは横隔膜が下降してドームをなくし、肺に空気を取り込みます。息を吐くときは、横隔膜のドームが戻っていくことで肺に圧をかけ、空気を口から押し出しています。
 
肺は自力で動く能力はもちあわせていないので、呼吸筋に助けられて活動をしています。
呼吸において普段みなさんがイメージするのは、深呼吸でも知られるように、「息を吸うこと」が圧倒的に多いですよね。
ですが、注目すべきは「息を吐くこと」。

 

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いっぱい吐ければ、あとは反動で勝手に空気は入ってきます。
吐けないことが原因で苦しくて苦しくて、苦しいからもっと酸素が必要だと思って、吸って吐いてを繰り返して…どんどん呼吸は浅くなっていってしまいます。


さらにさらに、息を吐くということには腹圧以外にもいいことがあって、筋肉の話でいうと、使うべき筋肉にスイッチが入ると、頑張りすぎ/出しゃばりすぎの筋肉をスローダウンさせることができるということ。
そして、自律神経にも深く関わっていて、息を吐くことで身体をリラックスさせる副交感神経を優位にすることができます。


自律神経の話はここではさらっとしかしませんが、日常の生活スタイル、姿勢や痛みや不調などなど…自律神経のバランスが崩れることで起こる症状は数多くあります。


とくに、全身が緊張してうまく力が抜けない交感神経優位の方には、運動を通じて自律神経を調整することが大きくプラスになりえます。


ということでまずは意識して、なが~く息を吐くことが、姿勢を正すことや身体の調子を整えること、さらにはボディラインを変えることの第一歩だということは、お分かり頂けたのではないでしょうか?
そしてその為に推奨されているエクササイズのひとつが、”風船を膨らませる”ということなのです!

風船をつかうことでのメリットは大きく3つあり、

 

  1. 内腹斜筋と腹横筋へ刺激を入れることができる
  2. 風船の抵抗を利用することで、胸郭を広げ肋骨を動かすことができる
  3. 吸気と呼気、どちらのフェーズにおいてもアウターマッスルとインナーマッスルに刺激が入る

 

風船を膨らませるときって、口先だけで「ふーーっ」ってやっても膨らんでくれないですよね。経験上、とくに色の濃いめの風船。(笑)
頸の力だけが入っても、血が上る感じがして、うまく膨らみませんよね。


もちろん上記3つ以外にもメリットはありますし、先ほどでてきた骨盤の位置にも気を使いながら(影響する筋肉を使いながら)実施することでより深いエクササイズになりるということは頭の片隅に置いておいてください。
最初から風船を膨らますのが難しい場合は、それまでの段階を少々増やして、準備を調えてからやる必要もでてくるかもしれません。


例えばお腹に力が入りづらく、息を吐くことがまず苦手な場合は、風船じゃなくてストローを使ってもOKなので、まずはうまく吐けるように練習しましょう!
これは断言して言いますが、決してこれだけやっていれば体幹が安定して姿勢がよくなるわけではないし、膨らんだから身体がうまく使えていて、逆に膨らまないから使い方が下手なんだというわけでもないです。


ですが、”体幹”を語るうえで、呼吸は切っても切れない動作機能ですし、赤ん坊だろうが、高齢者だろうが、アスリートだろうが一般人だろうが、SEだろうがバイオリニストだろうが…みんなが共通して行っている「運動」を見逃してはいけないという想いで、今回のバルーンエクササイズを読み解いてみました!


こまかいやり方は今回は紹介していないので、興味がある方は論文を読んで頂くか、

私のセッションをどうぞ体験してください~。最後に、理想的でない呼吸と姿勢が関係して起こり得る結果や症状をいくつかご紹介しますので、ご参考までに。

 

  • 横隔膜のドーム消失

  • 横隔膜ドーム形成力低下

  • エクササイズ耐性の減少

  • 腹腔内圧の減少

  • 浅い呼吸、呼吸困難

  • 呼吸効率の低下

  • 下部肋骨と胸郭の拡張制限

  • 横隔膜の長さ減少(平らになることによる)

  • 横隔膜内外圧の減少

  • 呼吸補助筋の過活動促進

  • 体幹部の神経筋コントロール不全

  • 腰椎の過前弯促進

  • 骨盤前傾位の促進

  • ハムストリングスの伸張促進

  • 腹直筋の伸張促進

  • 肋骨上方/外旋変位

  • 胸骨の上方変位

  • 伸展筋過活動の促進

  • 腰椎-骨盤帯の不安定性

  • 腰痛

  • 仙腸関節

  • 胸郭出口症候群

  • 頭痛

  • 喘息

呼吸と身体の仕組みは、簡単なようで複雑で、理解するのも一苦労です。


クリニシャンは知っておいて損はない知識だと思うし、私を含め知っている人はいかに伝わりやすくまとめるかが大事な内容ですね。


今回、ボディーワーカーに限らず、

一般のご自身の身体に興味がある方も読んでくださっていると信じていますが、

これを気に、少しでも自分の身体に耳を傾けて、

今までまるで意識したこともなかった場所を意識することで、

自分の骨や筋肉がどこにあるのか、見つけてもらいたいと思います。

もともとの計画だと、論文翻訳して掲載しようかと企んでいたのですが、

結果こんな文章にまとまりました!


論文内容はところどころ散りばめてありますので、多めにみてくださいっ。

それでは、また。